ブリュッセルへ

 ブリュッセルまでの列車の所要時間は3時間。ホテルのチェックインが15時なのでちょうどその頃に着くように、と11時台の電車に乗ることにしていた。7時ごろ起きてゆっくり朝食をとってからパッキングを済ませ、チェックアウトまでのんびり過ごした。チェックアウトの時に応対してくれたスタッフもとても感じがよく、「またぜひ、ルクセンブルクを訪れてくださいね」と笑顔で見送ってくれた。

ホテルのレストランで朝食

 タクシーでルクセンブルク中央駅へ行き、駅構内の「オーバーワイス」で昼食を調達し、予定していた電車に乗った。ルクセンブルクへ向かう車内で出会ったお医者さんの言葉を思い出し、緊張が走る。更にその後インターネット等で収集した情報によると、2日前に私がそうとは知らずに歩き回っていたブリュッセル南駅は非常に治安が悪いとのこと。しかし、ヒルトンの最寄り駅は南駅だ。多少遠くても中央駅で降りて、そこからタクシーの方がいいかな、とも思ったのだが、昼間だし、まあいいかな、と結局は南駅で電車を降り、タクシーに乗った。

ルクセンブルク中央駅の天井画 11時24分発のブリュッセル南駅行きのインターシティに乗ります この電車はルクセンブルクの国内線
1等車の車内
昼食は駅構内の「オーバーワイス」で買ったキッシュ これはグリーンアスパラ サーモンとほうれん草 2つでEUR6.65(約959円)

 タクシーに乗り込み、運転手さんに「ヒルトンまで」と告げたのだが、どうも変だ。地図で見たよりもずっと長い距離を走っているような気がする。こんなに遠いはずないよなぁ、でも私の距離感はあてにならないしなぁ、などと思っていると車は「シェラトン」の前で止まった。…あれ?シェラトン?? しばらく考えて、「違います、ここは『シェラトン』ですよね?私が行きたいのは『ヒルトン』です」とHを強調して言うと、運転手さんもしばらく考えてから、「ああ!」と納得したかのような声をあげた。そして天井にHの文字を書きながら「『イルトン』ね!」 …そうか、フランス語ではHを発音しないのね…。この国がフランス語圏であることを忘れていた。

 部屋に案内してもらい、荷物の整理をして、出かけようとしたところで部屋のチャイムが鳴った。なんだろう、と思って出てみると、ビールを1本サービスしてくれるという。なんて気の効いたサービス! さっそく冷たいうちにいただいてから出かけることにした。

ブリュッセル南駅からタクシーで今日のホテル「ヒルトン・ブリュッセル」へ 無事、チェックインできました
ミニバー
自動的にカウントされるタイプなので、今までにお土産として買ってきたチョコやチーズを入れる場所がない…
2人がけのソファ
ライティングデスク
バスルーム
ベネルクスのヒルトンは全部同じアメニティなのかな?
おお! ヒルトンのアヒルちゃんが!!
なんと、ホテルからビールを1本プレゼント、だそうです!嬉しい〜!! 「ヒューガルデン」という上面発酵のビールです

 ブリュッセルに来たら真っ先に行こうと思っていたのはもちろんグランプラス。ちょっと街外れにあるヒルトンからでも歩いていけない距離ではないので、地図を確認して、歩いてみることにした。グランプラスまでは15分くらいだっただろうか? 細い路地を抜けると突然視野が開け、写真で見たとおりのギルドハウスが目に飛び込んできた。思わず「うわぁ〜〜〜」と声をあげながら広場の中心あたりに立ち、ぐるっとまわりを見渡す。ヴィクトル・ユゴーが「世界一美しい広場」、ジャン・コクトーが「絢爛たる劇場」と称したという広場。14世紀から市の政治や経済の中心地として栄え、15〜16世紀には当時全盛を極めた同業組合のギルドが次々と建てられたが、1695年にフランス軍の砲撃によりほとんどの建物が焼失してしまったのだそうだ。しかし、そのわずか5年後には再建され、現在に至っているという。ひとつひとつのギルドハウスには軒名をあらわす装飾がなされているのも興味深い。

 そして、「星の館」と呼ばれるギルドハウスの一角には、ブリュッセル市民の英雄セルクラースの像がある。ブリュッセルを訪れ、この像を左から右に触れた人に幸福が訪れる、という言い伝えがあるため、この像の前にはものすごい人だかりができていた。私ももちろん、人波をかきわけて像に近付き、しっかり触れてきた。

ブリュッセルに来たらまずはグラン
プラスに行かないと!
市庁舎 ブラバン公爵の館
ギルド(中世ヨーロッパの同業組
合)ハウス
それぞれの軒名が象徴されています
王の家(市立博物館) すごい人だかり!と思ったら その先にはセルクラースの像 ブリュッセルを
訪れ、この像に触れた人に幸福をもたらすと言
われています。もちろん私も隅々まで触ってき
ました
グランプラスの動画です。画像をクリックするとスタートします(3.7MB)

 一度グランプラスを離れて、“ブリュッセルの最長老市民”ことジュリアンくん(小便小僧)に会いに行く。この像が造られた由来は各説あるそうだが、最も有名な話はブリュッセルを敵軍が包囲し、城壁を落とそうと火薬の導火線に火をつけたが、爆破寸前にひとりの子どもが導火線におしっこをかけて火を消した、という説らしい。造られた当時はあまり注目されていなかったが、その後街のマスコット的存在になり、酔ったルイ15世の兵士がこの像を盗み出した時には市民によるデモが起きたそうだ。その際王が謝罪のために豪華な衣装を贈ったのがきっかけで、世界各地からジュリアンくんの衣装が贈られてくるようになったのだそうだ。その衣装のコレクションは王の家(市立博物館)に展示されているそうなので、日を改めて見に行くつもり。

 さて、ジュリアンくんの次は…やはりジェンネケ・ピス(小便少女)も見ておかなければ。ジュリアンくんとはうって変わって、ジャンネケ・ピスちゃんはイロ・サクレ地区のはずれにひっそりとたたずんでいた。これは1985年にエイズ撲滅の募金を呼びかけるために造ったものだそうだ。あどけない表情はとても愛くるしいのだが…あまりにも生々しい…。観光客の姿もなく、こんなところで柵の隙間にカメラを突っ込んで写真を撮っている私はかなり怪しい人だった。

 
街中でタンタン発見! また人だかりが!と思ったら小便
小僧がいました 思っていたより
小さいんですね
そして…柵の向こうには 小便少女(ジャンネケ・ピス)!
(あまりにも生々しいのでこんな
アングルで撮ってみました…)

 とにかくブリュッセルに着いたらグランプラスを見て、ムール貝のワイン蒸しをつまみにビール!と思っていたので、夕食は定番中の定番「シェ・レオン」で。さっき飲んだヒューガルデンがおいしかったので、ここでもホワイトビールを注文した。ムール貝を使った料理は何種類かあったが、やはりワイン蒸し! 運ばれてきたのは小さなバケツのような容器に入った山盛りのムール貝。一体いくつ入ってるんだろう? とりあえず、まずはひとつ。…ウマ〜〜〜〜♪ 結構量があった割にはさっぱりしているので飽きずに食べられた。

 帰りがけに「ド・ビエール・テンペル」というビールの専門店でビールを数本買った。もちろん、部屋で飲むつもり。

イロ・サクレの食い倒れ横丁 定番中の定番、「シェ・レオン」で夕食
ホワイトビール(Brugs)はEUR2.75(約397円) お約束のムール貝のワイン蒸しはEUR18.75(約2704円) ものすごい量です 2人でひとつでちょうどいいかも
聖ジャック・シュル・クーダンベール教会 ホテルの周辺には高級ブティックが並んでます
買って帰ってきたビール まずは修道院ビール「レフ・ブロンド」 ランビックにチェリーを漬け込んだ「クリーク」




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