早いものでベトナム最終日の朝になってしまった。朝食は昨日の反省を生かし、さっぱりしたものを、ということで、初日にヒットだった「フォー・ガー・マイ・アイン」へ再訪することにした。初日と同様、注文するまでもなく運ばれてきたフォー・ガー。どういうわけか、今度は揚げパンがひとり一皿ついてきた(初日は2人で一皿だった)。やっぱりこのお店のフォーはおいしい。この味を知ってしまったら、やたらなフォー・ガーは食べられないな、と思う。

 朝食後はホテルのフロントに立ち寄って、部屋のデイユーズをお願いした。さすがに12時にチェックアウトして夜まで時間をつぶすのは無理。だったらいっそのこと、有料でも部屋が使えた方がいいだろう、との判断だ。料金は1万円少々かかってしまったが、これで出発前にシャワーを浴びることができるし、荷物の整理もゆっくりできる。もともとの宿泊料金が安かったのでよしとしよう。

18時まで部屋を使わせてもらえるようにお願いしていたので(有料)、午前中は市内観光に出かけます
まずは朝食 お腹の調子があまりよくなかったので初日と同じ「フォー・ガー・マイ・アイン」へ
平日のため、この間よりも混んでいました やっぱりこのお店のフォー・ガーはおいしい 揚げパンもおいしくて満足♪
調味料各種 私は左の辛いソースを加えてみました 味がきりっと引き締まって一層美味に

 今日は買い物を中心に旧市街をまわる予定。まずは、昨日閉まっていて見ることができなかった、ハノイ大教会へ向かう。教会の正式な名称はセント・ジョセフ教会で、パリのノートルダム教会を手本として造られたハノイで最大の教会だ。1900年に改築された建物の外観は、もともとは白と黒の石材でできているのだそうだが、現在はカビと埃で黒ずんでしまっている。内部は撮影禁止のため画像はないが、ステンドグラスを通して入り込む光が美しい空間だ。ちょうど礼拝が行われていて、堂内の座席をほぼ埋め尽くすくらい大勢の信者たちが集まって、熱心に祈りをささげている姿があった。

昨日はいることができなかったハノイ大教会(セント・ジョゼフ教会) 今日は開いていました 内部は写真撮影禁止です 1886年に仏教寺院の跡地に建てられたネオゴシック様式の教会です

 大教会を出た後は、お土産を買うために市内中心部で最大のドン・スアン市場を目指す。またも地図を頼りに、先ほどホアンキエム湖から教会へ向かった道を戻り、ドン・スアン市場へ通じる道へ出た。旧市街地の街並みはごちゃごちゃしてはいるが、どことなく西洋の香りがするのは、やはりフランス統治時代の影響だろう。歩いて15分ほどで市場に着いた。市場内へ入ると、まずひしめき合うお店の数と人の多さにびっくり。1階は日用品を扱うお店が多く、2、3階が衣料品売り場が中心だというので、1階を中心に見て回ることにした。…が、ここはどちらかというと観光客が土産物を求めてくるというよりは、地元の人の買い物の場で、ハンコアイ通りに面した一角にかろうじて10軒ほどの土産物屋があるだけだった。それも、どこも同じような品揃えだったので、とりあえず目についたお店で扇子を買い、職場用のばらまき土産を買っただけでここでの買い物は終了。…なんだか不完全燃焼だ…。

 予定よりも早く買い物が済んでしまったのだが、主な見どころももう回ってしまった。かといって昼食にはまだ早いので、どこかでお茶休憩をしよう、とカフェを探す。考えてみたら、世界第2位の産出量を誇るベトナムのコーヒーをまだ味わっていないのだ。しかし、いざ探し始めるとなかなか見当たらない。そこで適当に脇道に入ってみた。しばらく歩くとコーヒーのいい香りがしてきた。そこにあったのはコーヒー豆のお店。せっかくだからちょっと寄ってみよう、と店内に入るとコーヒーを試飲させてくれた。最高品質のロブスタだという。これが…絶品!! 即購入決定。しかしドンの持ち合わせがあまりなかったこともあり、250g入りを一袋しか買わなかったのだが、激しく後悔することになる…。

大教会からドン・スアン市場を目指して歩きます
ドン・スアン市場へ到着 ハノイ中心部で最大の市場だそうです
観光客向けというよりは市民向けの市場です 土産物屋
コーヒーのいい香りに誘われて入ってみました ここで試飲したコーヒーがとてもおいしかったので同じものを買うことにしました 帰国してさっそく飲んでみて、もっと買ってくるんだったと激しく後悔することに…

 コーヒーを買ったお店を出てしばらく歩くと、ようやくカフェを発見。ベトナムらしい、小さな椅子とテーブルの並ぶ可愛らしいカフェだ。ビールもあったが、さっき試飲したコーヒーがおいしかったのでアイスコーヒーを注文。出されたのはコンデンスミルク入りの甘いコーヒーだったが、それでも味と香りがいいのがわかる。この時点で「やっぱりさっきのお店でもっと買っておくんだった」と後悔。でも手持ちのドンがないことにはどうしようもない。小さい割には意外と座り心地のいい椅子に腰かけて甘いコーヒーを飲みながら、ひたすら悔やむ私であった…。今度ベトナムに行く時のメインの買い物は間違いなくコーヒーだな、と確信。

もっとコーヒーが飲みたくなったので小さなカフェに入ってみました とても小さな椅子が並んでいます だけど何気に座り心地がいい…
アイスコーヒー(20000ドン・約80円) 甘いけれどやっぱり濃厚でおいしい!

 のんびり休憩しているうちに、ようやく小腹が減ってきたので、昼食を取りに行くことにした。当初は北部地方の名物のひとつ、チャー・カー((香辛料で下味をつけた雷魚を揚げた料理)を食べに行くはずだったのだが、このお腹の具合だと揚げ物は無理。そこでおこわの専門店に行くことにした。相当の人気店らしく、店内はたくさんのお客さんがあふれている。案内されたのは3階席。まるでお風呂の椅子のような小さな椅子と、それに合う高さの小さなテーブルのお店だ。ベトナムでは椅子の高さによってローカル度がわかるのだという。だとすると、このお店はかなりローカルなお店ということになる。…と思った通り、注文を取りに来たスタッフは簡単な英語も通じず、注文にものすごく苦労した。仕方ないのでメニューを見ながら適当に指さしで注文。…一体何が出てくるんだろう(笑)? 待つこと数分、運ばれてきたものは、旦那が頼んだものは普通の白いおこわに目玉焼きと真っ赤な中国風ソーセージがのったもの。私が頼んだものはとうもろこしの粉の混ざったおこわに煮卵と牛肉のパテがのったもの。どちらも見た目にはパッとしないが、味に関しては想像よりはるかにおいしかった。これなら人気があるのも頷ける。

「ソイ・イエン」で昼食 お風呂場で使う椅子みたいな小さな椅子(椅子の高さによってお店のローカル度がわかります) 旦那は普通のおこわに目玉焼きと中国風ソーセージをトッピング 見た目は毒々しいけれど、味はいいです
私はとうもろこしのおこわに牛肉のパテと煮卵をトッピング これもおいしかった!

 午後はまだ充分時間があるので、飛び込みでホテルに近い「ヴァン・スアン・フットマッサージ」に行ってみることにした。ガイドブック等でもよく紹介されているお店なので混んでいるかと思ったが、予約なしでも受け付けてもらえた。まずは料金表を見てびっくり。とにかく安い! 私たちは70分間の全身マッサージをお願いしたのだが、これがなんとたったの$8!! 日本とは一桁違う。マッサージ用の部屋(4人入れる部屋)に案内され、用意されていたTシャツとハーフパンツに着替え、マッサージ開始。…う…上手い! スタッフは極めて無愛想だが、この値段でこの腕前なら許せる。こんなことなら昨日も来ればよかった。

食後はホテルからも近い「ヴァン・スアン・フットマッサージ」に行ってみました 70分間の全身マッサージ($8)をお願いしましたが、バリの「ロータスクラブ」並みの腕前!この値段でこの技術なんて…びっくり!!

 部屋に戻ってゆっくりとシャワーを浴び、まだ残っていた先日買ったビールを飲んでくつろいで、頃合を見計らってパッキング。そして18時にチェックアウトした。飛行機の出発時刻は23時30分なのだが、余裕を持って19時半にエアポートタクシーを予約してから、ホテルのレストラン「ラ・ブラッセリ―」で滞在中最後の食事をとりながら時間をつぶすことにした。アラカルトとブッフェが選択できるので、長居できそうなブッフェを選択。飲み物が1杯めだけ無料、というのはよかったが…。先日の朝食からしてあまり期待はしていなかったが、予想通り、なんとも言えない敗北感の漂う食事になってしまった。特にフォーは、薄いトマト味のスープで、残念過ぎ。これでひとり当たり2500円とはあんまりだ(涙)。それでも無難そうなパンやアイスクリームなどをつまみ、19時半少し前に会計を済ませてレストランを出た。

ホテルのレストラン「「ラ・ブラッセリ―」でディナーブッフェを 飲み物が1杯サービスで付きます  その場で作ってくれる麺のコーナー
刺身や寿司もあります なんだか敗北感が漂うフォー
あまりお腹がすいていなかったこともあり、お料理もこれといって心惹かれるものがなく… 普通においしそうなパンをいただくことにしました 〆はライチとアイスクリーム この味でひとりあたり約2500円とはあんまりだ…

 予定通り19時半にタクシーが来た。今度はノイバイタクシーではなく、エアポートタクシーだ。ここも一応、トラブルの少ない会社リストに入っていたので大丈夫かとは思うが、一応乗る前に料金の確認だけはしておいた。料金は270000ドンで間違いなさそうだ。道路は予想以上に混んでいて、バイクだけではなく自転車までもが車の走行を妨げている状態。運転手さんはひたすらクラクションを鳴らしながら強引に割り込んでいく。かなりスリリングな運転だ。お蔭で私は往路と同様に口数の少ない人に変身してしまい、時間はあるのだから、空港までとにかく安全に送り届けて欲しい、と心の中で祈っていた。幸い何事もなく、料金のトラブルもなくタクシーを降りることができた。…よかった。

 空港内に入り、JALのチェックインカウンターを探す。しかし、見当たらない。案内表示を見ても出ていない。途方に暮れてきょろきょろしていると、「もしかしてJALの成田行きに乗るんですか?」と声をかけてきた男性がいた。「はい、そうです」と答えると、「さっき聞いたらもうすぐ向こうのカウンターが開く、って教えてくれましたよ」 …なんて親切な人なんだろう…。お礼を言って教えてもらったカウンターに行くと間もなくチェックインが開始された。

 チェックインを済ませ、ラウンジでビアハノイを飲んでほっと一息。旦那は怖いもの見たさでインスタントラーメンを食べていたので、私も一口食べさせてもらったが、さっきホテルのレストランで食べたフォーよりも100倍おいしかった(笑)。

極度の緊張の後はラウンジでリラックス
インスタント麺とフォーがあります 係員に言うとお湯を注いでくれます バナナとドラゴンフルーツ、スイカ
お菓子各種 ワインもありました ビールとソフトドリンク
ビアハノイを飲み収め 物は試し…とインスタントラーメンを食べてみましたが、ピリ辛のチキンラーメン、という感じ 

 帰国便は定刻通り23時30分に出発。夕食や軽食は出ないのだが、乗るや否や爆睡してしまった旦那を尻目に、私はひとりでワインをしっかりと飲んでいた。ほとんどの人が眠ってしまった頃、酔いも手伝ってようやく眠くなってきたので、私もひと眠りすることにした。目が覚めた時にはちょうど朝食のサービスの始まる少し前だった。

機内食のメニュー

<和朝食>


 鯖の塩焼き
 磯巻き玉子
 海老芝煮
 金平牛蒡

 ほうれん草としじみのお浸し

 浅蜊の時雨煮
 すり身豆腐
 
 ご飯  香の物  味噌汁

 果物

 緑茶

<洋朝食>

 フレッシュフルーツ

 ヨーグルト

 キッシュロレーヌ グリルソーセージ添え

 フレッシュサラダ

 パン

 コーヒー  紅茶

暗くて見えないけれど赤ワインです 朝食前のフレッシュジュース 朝食 私は洋食にしました
キッシュロレーヌ グリルソーセージ添え 毎度思うのだけど、どうしてこうなってしまうんだろう…という味 フレッシュサラダ ヨーグルト
フレッシュフルーツ パン 恐ろしくかたくて食べられませんでした 旦那は和食
鯖の照焼き・磯巻き玉子・海老芝煮・金平牛蒡 ほうれん草としめじのお浸し 浅蜊の時雨煮・すり身豆腐
フレッシュフルーツ ご飯・味噌汁

<後書き>

 成り行きで決まったようなハノイ旅行ではあったが、結果的にはやはり行ってよかった。右も左もわからないうえ、情報のほとんどない街をガイドブックの地図だけを頼りに歩き回り、様々な見どころを回ることができたのは大きな収穫だった。また、ベトナム料理はもっと香草がきついイメージがあったが、北部地方ではあまり香草を使わないため、料理が口に合ったのもよかった。更に、ホテルの裏の売店のおばちゃんをはじめ、お店のスタッフもほとんどの人が笑顔で接してくれて、温かい雰囲気を感じることができたこともこの旅行が楽しかった、と思える理由のひとつになった。私の記念すべき100回めの海外旅行はとてもいい思い出になった。

 心残りはと言えば、なんといってもコーヒーを少ししか買わなかったこと! その他のお土産に関しても不完全燃焼だった。また、ベトナム国内でも今回はハノイのみのステイだったので、次の機会はホーチミンやフエ、そしてお隣のカンボジアのアンコールワットにも足を延ばしてみたい。

お土産編
手づくりの刺繍(1500円) 透かし模様入り 手書きの扇子(50000ドン・約200円)
ノンラーと呼ばれる笠…普通買わない、って…(80000ドン・約320円)
ベトナムコーヒー(200000ドン・約800円(…だったと思います…)) 蓮茶(250000ドン・約1000円(…だったと思います…)) 売店のおばちゃんにもらったお菓子 名前がなぜか「おいしい」(日本語でも「おいしい」と書いてある!)



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